10年後も…〜song for you〜
救命センターに運ばれた時、健は極めて危険な状態だった。
脈拍も弱く、意識もない。
ただ茫然と待合室で待っていると、お母さんと、夏美、祐樹くんが駆けつけた。
私は、知らぬ前に無我夢中で家に電話をかけていたみたいだった。
駆けつけた夏美の腕に泣き崩れた。
わけがわからない。
目の前で健が倒れるんだもん…。
しばらくして、先生が顔を出した。
「ご家族の方ですか?」
「あ…いえ…あの子には身内がいなくて…私が母親代わりです」
茫然としている私の横で、お母さんが先生と話している。
「少しあちらでお話しさせていただいてよろしいですか?」
「あ、はい。お願いします。あ、え?」
その時、私はお母さんの洋服の裾を握って引き止めた。
「お母さん、私も聞く…」
無意識に口が勝手に動いていた。
「真琴は、ここで待ってなさい。後できちんと話すから」
「いや!!聞くの!健のことなんだよ!」
私は、思わず叫んでいた。