10年後も…〜song for you〜
【現在】
「それから、二年間くらいは真琴ちゃんを通して健は友達で、あたしの片想いだった。健は、その間もずっと真琴ちゃんのことだけを想ってたの」
私は紅茶を一口飲むと息を吐いた。
「健は口には決して出さないけど、会う度に真琴ちゃんを想ってる姿が見えたの。気付けば、そんな彼があたしも好きなってた。二年経って、ようやく気持ちを伝えたの。OKなんて期待してなかったのに、まさかのまさかだった…」
「柏木さん…」
気付けば、泣いていた。
そんな夏美ちゃんがハンカチを差し出してくれた。
「夏美ちゃん、ありがとう。あたし、こうなること分かってたの。健の気持ちを知って告白したのはあたしだし」
「でも、健くんひどい。真琴のことをずっと好きだったのに、柏木さんと付き合って…病気になったからって、柏木さんと別れて、真琴の元に行くなんて…」
「夏美ちゃん、恋愛ってそういうものじゃない?誰かを傷つけても、自分の気持ちに正直になることが一番大切だと思うの」
「でも…」
「それに、付き合っていた3年間…健はちゃんとあたしを想ってくれていたことを信じてる。だって、あたし、3年間すごく幸せだったもの。それを感じれたの」