10年後も…〜song for you〜
私はにっこりと笑った。
そして、それ以上のことは口を閉じた。
健がアメリカに行くことを聞いた日から、素直に応援出来なかった自分が居た。
真琴ちゃんは、あの日空港で、
笑顔で健を見送った。
真琴ちゃんは健の前では決して涙を流さなかった。
そんな彼女に、敵うはずがないと思った。
それが最大の理由だった。
音楽の為というのは嘘だったけど、素直に応援出来なかった自分と、悲しみを隠しつつ応援していた真琴ちゃんには、絶対勝てなかった。
私は離れることだけが悲しくて、自分のことしか考えられなかった。
健が去った後、泣き崩れた真琴ちゃんを見て、別れる決意をした。
健…。
真琴ちゃんの為にも絶対に死なないで!
そう心に祈った。
「あたしさー夏美ちゃんは、健より祐樹くんがお似合いだと思うなー」
「えー!?何言ってるんですか!」
夏美ちゃんの慌てぶりに、フッと笑みがこぼれた。