10年後も…〜song for you〜

穏やかな日々


翌日、予定通り健は退院した。



伊豆先生に頭を下げ、病院を後にし付き添った私と、私の家へと帰ってきた。




「おかえなさい」

お母さんが玄関先で出迎えた。


「おばさん…色々心配かけてすみませんでした」

健が頭を下げるとお母さんは首を横に振った。

「いいのよ。さぁいいから上がって、みんなも来てるから」


みんな?


お母さんの言葉に何気なく足元に目をやると、見慣れない靴があった。




リビングの扉を開けると、


「よっ!健!」

「おかえり。健くん」


祐樹くんと夏美が笑顔で迎えた。


「お前ら来てたのか?」

「おばさまに連絡もらったのよ。健くんが今日退院するって」

「お前は相変わらず俺らには何も話してくんねーからな!真琴のことしか頭に無ぇのかよ?」

「そんなんじゃねぇーよ、うるせー」



健と祐樹くんの相変わらずな言い合いに、私も夏美もお母さんもフっと笑った。



祐樹くんが、健のことをすごく心配していた気持ちは痛いくらい分かってたし、


健が祐樹くんに罪悪感や感謝の気持ちがすごくあることも分かる。



こんな親友の2人の姿を一番私が身近で見てきたから…。





2人の言い合いが微笑ましかった。




「真琴、あたし達も居るからね」

夏美が私の肩をポンと叩いて、小さくつぶやいた。


「ありがとう夏美…色々心配かけてごめんね」

「心配くらいさせてよ。親友なんだから」

「夏美〜!」

「はいはい、よしよし」


夏美を抱きしめると、夏美が子供をあやす用に私の頭を撫でた。



夏美は私の親友。



私にも健にも支えてくれる仲間がいる。




その事をすごく実感した。




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