10年後も…〜song for you〜
真琴を抱きしめる腕に力が入った。
夕日を二人で見つめながら、このまま時が止まってしまえばいいのにな、っと思う…
「真琴…」
「ん?」
首を動かして優しく俺を見つめた真琴がすごく愛おしい…
「お前を二度と離さないから…」
そう言って、四回目のキスをしようと唇を近づけた瞬間、
「すみませーん」
後ろの方からいきなり声を掛けられ、びっくりし、真琴から離れた。
振り向くと、警備員が屋上の出入り口に立っていた。
「そろそろ屋上閉鎖しますんで、よろしいですか?」
「あ、はい」
俺は頭を下げると、妙に恥ずかしくなった。
すると真琴が吹き出したので、俺も可笑しくなって、お互い笑い合った。
「見られてたかな?恥ずかしいね」
「だな!」
こんな些細なことがすごく幸せに思えた。
どうか…この幸せが続くようにと、夕日に願った。