10年後も…〜song for you〜

半年間、真琴の死を受け入れきれず、涙すら流せないでいた。




まだそれが現実だとどうして思いたくない。




真琴が居ない日常で俺には生きる希望が見出せない。




バイトを掛け持ちしながら一日中働き、食べては寝て…

誰にも会わない日々を送っていた。


朝、目を覚ますと、今日もどうでも良い一日が始まる。



水道水を飲んで息を吐くと、アパートの隅に佇むギターが目に入った。



病室で目を覚ました時に、いつのまにかベッドの横に置かれて、俺の手元に戻ってきていた。




あの事故の日から一度も鳴らしていないギター。



俺はおもむろに、ギターが見えないように、タオルを被せた。



ギターなんて見たくない。





ギターなんて…。





< 473 / 508 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop