10年後も…〜song for you〜
その時、
ーピンポン!
玄関のチャイムが鳴った。
玄関を開けると、そこには祐樹が立っていた。
「うぃす!元気か?」
ニコニコと笑う祐樹。
祐樹は、俺を心配してか日曜日になると朝からアパートに顔を出しに来ていた。
「俺、今日も朝からバイト入れてんだけど?」
「まあまあ、一緒に朝飯食おうぜ!」
祐樹はコンビニの袋を俺に見せた。
俺はため息を吐いて、祐樹を部屋に招き入れた。
祐樹の優しささえ、今の俺には苦痛だった。
「なぁ…祐樹」
「ん?」
「俺…東京から離れようと思ってる」
コンビニ袋からパンを出していた祐樹の手が止まり、祐樹が俺を見た。
「どっか遠くに行きてなぁー。関西とか九州とか」
「……」
「誰も俺のことを知らない土地に行ってやり直すんだ。九州はいいかもな。飯だってうめぇし」
「…だったら、沖縄に行けよ」
祐樹が小さく呟いた。
「あ?」
俺は祐樹を睨みつけた。
沖縄に行けるわけないだろ?
ふざけんな!