12ホール
(念の為に…)
少女の部屋の前で微睡の印を結ぶ。
ゆっくりと開いたドアの奥は亥月の部屋と同じ構造だった。
ベッド上には、呪符により微睡む少女の姿があった。
その傍には、クレヨンとスケッチブックが開かれていた。
(何を描いてるんだ?)
興味から覗いた麻幌は青ざめ、微睡む少女の顔を見る。
「完全に消さなきゃな…」
力を込めた右手で少女の首を押さえ、左手で印を結ぶ。
その左手を少女の眉間に当てようとした時だった。
「私の記憶を消しに来たのか?それとも…私自身を消しに来たのか?」
はっきりとした口調で少女は覚醒し、麻幌と同じく眉間に指を当てようとする。
「…出来れば両方だけど…今は止めようか…な…」
亥月にあれだけの傷を負わせた相手だ。
現に麻幌の呪符も跳ね返している。
麻幌は大人しく両手を少女から離す。
少女も麻幌から手を離した。
「とりあえず…俺は警察達の記憶を消して来る…」
「ああ…ならば私は覚醒させよう」
ニヤリと笑い少女はベッドを抜け出す。
「治癒出来るのか?」
「ああ…お前の式の傷も治してやる」
その上からの少女の態度に麻幌が声を荒げる。
「こら!さっきから何だ?」
「何だ…とは?」
「その態度だ!こいつ(警官達)にしろ、亥月にしろ…お前に何かしたのか?」