桃色の初恋〈上〉

萌は、ベッドに横たわっていた。


『どうしたの!?』

「...」


萌は、泣いたまま、何も答えてはくれない


「萌ちゃんだっけ?」

「は、ぃ」

「俺、紗季の彼氏の大原愁。何かあったの
 か?」

萌は、こう言った。


「...紗季ちゃん、ふられちゃった」

愁は私のほうを見た。


『萌、矢崎のこと本気で好きだったの』

「そうだったのか...」

「紗季ちゃん、一人になりたい。」

『矢崎は何て言ったの?』

「好きな人ができたって言われちゃった」


私は何も言えなかった。
もし、本当のことが愁にも萌にもバレたら
何もかもが壊れる。







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