恋人ごっこ
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「…」


「仙崎?」


反応のない彼に呼びかける。
すると彼は、ゆっくりあたしと目を合わせ、

「…和葉さんって、お母さんのことママって呼ぶんですね。」


とほざいた。


「うるさい。我が家の躾の末の結果だ。」


微妙な指摘をされ、あたしは投げやりに答えた。


「家賃は通帳のほうに入れちゃったんで、明日まで待ってください。
明日朝一で卸してきますから。」


「明日過ぎたら倍ね。」


「そんな…」


そんな言い合いをしながら夕飯をしていると、


「和葉ちゃーんっ」


外からあたしを呼ぶ声が聞こえた。


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