恋人ごっこ
.




「はい終了、はいお疲れー」


あたしは手をパンパンとはたき、彼に言った。


「お茶入れるよ、座って」


そう言って、あたしはキッチンでお茶の葉が入った缶に手を伸ばす。
と、視線を感じてそちらを見ると、


「…」


いぶかしげにこちらを見る仙崎と目が合った。


「…何」


「…や、和葉さんがお茶入れられるのか心配で」


「それぐらい出来るわ馬鹿」


眉間にしわを寄せて言い返すと、彼は少し笑って「そうですね」と言った。


「あたしだって一人暮らし長いんだから料理ぐらいできるわよ。
ただ君のほうが上手だから何もしないだけ。」


むくれながら缶を開ける。
緑茶の香りがした。

.
< 98 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop