【単連】MEETs JUNCTION(BL含)
しかし、同僚とホストの盛り上がりに加わるよりこの胡散臭い男と話す方がいくらかマシな気がして、私はテーブルの賑わいに背を向けるようにソファの背に肘を付く。
シュウに向き合う形だ。
盛り上がりの中で1人で大人しくしているよりも場の空気は壊さないだろう。
我ながら大人になったものだ。
「マリ」
私は短く答えると、焼酎を傾けた。
「マリさん、」と確認するように名前を反復したシュウは、唇の両端を持ち上げた。
笑っているつもりらしい。
特別文句はない。
こんな仕事をしていれば仕方ないことだろう。
ただ、不器用な男だと思った。
「会社の仲間ですか?」
「ええ」
「何のお仕事なんですか?」
「エステ」
「へぇ。いいですね、マッサージ、俺もしてほしいな」
「あの辺は」
私はわざとらしく上司の方を見た。
中堅くらいの男に挟まれて気分を良くしている。
「もうしてもらってんじゃないの」
「ああ、」
シュウはクスリ、と笑った。
それは皮肉っぽくも見えた。
不器用な男のその反応が肯定なのか知らないのかよくわからなかったが、私にとってはどうでもいいことだったので、その話は続かなかった。