【単連】MEETs JUNCTION(BL含)
「シュウはなんでホストなんてしてるわけ」
「金以外ないでしょ」
「ふうん。お金のために、ね」
「何が言いたいんだよ」
「だって、すごい無理して笑ってるんだもん。あんなんじゃ客が気の毒だよ」
「………、」
シュウは何か言いた気に口を開いて、でも何も言わずにグラスを口にする。
「お金のためっていうならさ、もっと上手くやれば?」
「うるせぇな。勝手だろ」
「そうだね、勝手だわ」
自分でもホストが合っていないことは自覚しているのだろう。
もしかしたら店でも家でも上手く行ってないのかもしれない。
「……。」
「……。」
「まぁ、潮時だとは思ってる」
何を考えているのか、ポツリと呟くシュウの横顔はどこか影を背負っていて、その事情は私には知りようもないことだけど、それは私をひどく安心させた。
他人の不幸というものは、こうして何かの支えになるものなのだろうか。
皮肉なものだ。
「ねぇ、やっぱ一晩だけ私を慰めてよ」
「はぁ?」
「最後までじゃなくていいの」
私の提案に、シュウは露骨に嫌な顔をした。
ある種の自虐だ。
同僚の女よりはよっぽどシュウの方がマシに思えた結果。
「俺ゲイだよ」
「だから誘ったのよ」
ツバサを好きになってから、私は笑うことを忘れていただろうか。
私は久しぶりに声を出して笑った気がした。
-脱け殻は蜜に寄らず-

