【単連】MEETs JUNCTION(BL含)
ツバサは、心を病んでいた。
とても敏感な心にこの時代の水が合わないようで、バランスを取るように手首に刃を立てた。
両親との確執も、職場の人間関係も、全てが彼女を疲れさせていたのだ。
私は、そんなツバサを救ってあげたいと願った。
電話があれば夜中でも駆け付けた。
一晩中抱き締めた。
ツバサが幸せになるのならなんでもしてあげたいと思った。
傍にいてあげたいと思った。
彼女は愛情を渇望していた。
潤してあげたかった。
しかしツバサは、同性愛者ではなかった。
注いであげられる愛情があるのにツバサの前では無力でしかない。
キスをしてあげたい。
身体の奥から慰めてあげたい。
否、それはただの自分の欲望でしかないことに気付くととても空しくなった。
『私、ツバサとセックスしたいと思ってる』
解りやすくストレートに告げると、ツバサの頬がひきつった。
つい二日前の話だ。
私も限界だったのかもしれない。
結局私は、一番最悪な形で彼女を裏切ったのだ。
最後のあの表情が頭から離れない。
今までの愛らしい顔も、全てが上塗りされてしまった。
とびっきりの笑顔が最後の思い出になればと後悔して、結局自分のことしか考えていないことに呆れた。