花に、嵐
「……そうだよ。いま朔ちゃんのマンションにいるの」

残念ながら二人っきりじゃないけどね。

『─────花菜、やっぱり迎えに行くわ。今ね、朔太郎さんのマンションから一駅のところにいるから』

「いいってば。今日はお教室の日だから疲れてるでしょ、“美桜”ちゃん」

電話の相手の名前を言えば、ジッと会話を聞いていた二人が一瞬目を見開いた。

「……美桜?」

ポロリとこぼれ出るように呟いた朔ちゃんに、申し訳程度しかない胸の、その奥がズキズキと小さな痛みを生む。


────高2の夏。

16才の私の朔ちゃんへの告白は、

私にとって憧れでもあり、決して越えられない壁のようでもあり、所謂、高嶺の花のような存在の、4つ上の姉、美桜ちゃんと朔ちゃんが結婚を前提に付き合ってると報告を兼ねて挨拶に来た日。

“美桜ちゃんを好きでもいいの。勝手に好きでいるから”

やっぱり私は笑ってた。















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