花に、嵐
「そ、そうかな••••」

美桜ちゃんは納得がいかない様子だったけど、さすがに電車の中で電話はかけれないと思ったのか、私からスマホを受けとるとバッグにしまった。

あーあ。
せっかく朔ちゃんのお部屋に初めて入れてもらえたのに。
もっとお話したかったのに。

上手くいかないものだなあ。

ゆっくりと流れていく窓の外の景色をぼんやりと眺めながら溜め息を吐き出した。




「花菜•••」

もうすぐ駅に着く、というところで、美桜ちゃんに呼ばれて外の景色から視線を移した。

「なに?」

思いの外、真剣な声色にずーんと重たい気分になる。

「••••あの、ね」

「うん」

美桜ちゃんの言いたいことがわかるから。

「花菜は、朔太郎さんのマンションには••••よく行くの?」

やっぱり。






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