花に、嵐
関さんはニコリと美桜ちゃんに微笑んだあと、少し後ろを歩いてた私に気付くと

「花菜お嬢様、おかえりなさいませ」

同じようにニコリと微笑んで車のドアを開けてくれた。

「ただいま。ありがと、関さん」

正直、普段、関さんとはほとんど関わることがない。

口をきくのももしかしたら初めてなくらい…かも。

そんなことを考えていたら

「花菜お嬢様をお乗せするのは初めてですね」

運転席に乗り込んだ関さんも同じことを思っていたようだ。

「そうですよね！やっぱり。私、この車に乗ること自体初めてですもん！」

「来年からは花菜お嬢様のお迎えもすることになるかもしれませんね」

「あはは、どうでしょうねえ」

就職はまだ内定もらえてないし……来年にはもしかしたら結婚させられちゃうかもしれないけど。

ていうか、お抱え運転手がいる時点で、全然実感なかったけど、うちはやっぱりそこそこお金持ちの由緒正しいお家柄、ということなのか。

フーッとやるせないため息を吐いて、座席に背中を預けて窓の外に視線を向けた。













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