叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


その声が誰のか、すぐにわかって目を見開く。


え……まさか……でも、なんで……?


戸惑いながら後ろを振り向くとそこには
自分の足でしっかりと立ってこちらに大きく手を振る相沢の姿があった。


そしてあの日以来の制服姿。


驚きを隠せずに立ち尽くしている俺のもとへ杖のような支えを使いながら彼女が一歩一歩確実に歩いて来る。



……相沢が……

立って歩いている……。



じわあぁ〜と広がる嬉しさ。感動で胸がぎゅっとして、一瞬で涙が目に溜まる。



「……はっ……」



息を吐くように笑って、手で目もとをこすると相沢のもとへ走った。



「相沢……!!なんでここに……!?」


「実は、冬樹に驚いてほしくて黙ってたんだけど、おととい退院したんだ」



じゃあ、俺を驚かせたくて病院に来るなって言ったのか。
退院してもぬけの殻になった病室を見たら俺はまた別の意味でびっくりする。



「……心臓が飛び出るかと思ったし」


「えへへ。それはよかった!」



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