叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
二カッと笑って優花ちゃんの方に走って行った仁に俺は笑った。
なんだよ、いきなり。
らしくねぇーじゃん。
「俺だってお前には感謝してるっつーの……」
優花ちゃんにハイテンションで絡んで行って怒られてる仁は相変わらずだ。
そんな二人は去年結婚して、お腹の中には赤ちゃんがいて、出産予定は今年の秋だ。
ケンカも多いみたいだけど、なんだかんだ上手く行ってる。
ーー『私、死のうと思ったけど、冬樹がいたから……まだ冬樹と一緒にいたいって思ったからあの時計塔に戻ったんだよ』
約8年前のあの日、帰り道で優夜が言った言葉をふと思い出す。
ーー『死にたくないって。明日も、冬樹に会いたいって、そう思ったから、生きたいって思えたの』
俺がいたから生きることを選んだと言ってくれた。
あんなに辛かった今が過去になり、遠い未来だった今になってあの頃をようやくいい思い出だと言えるようになった。
間違いだらけだった17才。
それでも今はそのどれもが間違いじゃなかったとそう思うんだ。
なぁ、優夜?
「ーーーふゆきっ!こっちに来て!」