叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


俺は無我夢中で相沢を抱きしめていたから気づかなかっただけで、イヤな思いしていたら……


そう思ったら謝らずにはいられなかった。



『初めて男の人に抱きしめられたんだよ』



相沢の、初めて。

好きなひとの、初めて。


グッと胸を掴まれた自分がいた。
こそばゆい感情と、悲しい想いをさせてしまった感情と。


黒板のその文字たちは相沢の気持ち。


涙を溜める相沢の目もとに手をやってその雫たちを拭う。


泣かないで。

笑って見せて。


俺の大好きな君の笑顔。


泣いてちゃ、もったいないよ。

せっかくの可愛い顔が。


……って、俺がそんな顔にしたのか。



「泣かないで。まじごめん」


< 63 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop