SトロベリージャM
実野里もダイの背中に腕を回し、ダイを求めた。


(もう、離れていかないで・・。)


幸せに浸るのもつかの間、実野里は現実へと引き戻された。


行きは、早朝で誰もいなかったが、今は昼過ぎなので、誰に見られてもおかしくない状況だと、今更になって気付いたからだ。


「ダイ、離れなきゃ。誰かに見られたら大変だよ。特に社長とか・・。」


ダイも我に返ったように、実野里から名残惜しそうに離れた。


そして、2人はベンツから降りた。


「今日は部署ごとに会議をしてるから、見つかる確率は相当低いが、念のためだ。実野里、1人で帰れるか?」


ダイは、実野里にしか向けない優しい笑みを浮かべた。


「うん、大丈夫。楽しかった。ダイのことが、もっと分かった気がする。」


「どんなことだよ。」


ダイは実野里に、軽くデコピンをした。


「う~ん。やっぱり秘密。」


クスッと笑う実野里は、日差しのシャワーをたっぷり浴びた、可憐で無垢な妖精のようだった。




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