SトロベリージャM
「では、いただく。」


まず、ダイ王はスープに手を付け、その後、ハンバーグをひと口食べた。


「・・・。」


ダイ王は無言で、深く考え込むように目を瞑っていた。


聞こえてくる音といえば、鈴虫と19時に出てきたハッピーの鳴き声の和音だけだった。


(あぁ、わたしのハッピー。わたしをハッピーにしてちょうだい。)


おとぎ話の悲劇のヒロインになったように、愛用鳩時計に助けを求めた。


「実野里・・。お前・・。こ・・こんなものを俺に食わせるなんて・・。」


(や・・やばい・・。ダイは、高級なものしか食べないはず・・。)


もうすぐ、料理がスローモーションで宙を舞うだろうと歯を食いしばった。


その瞬間、得体の知れない宇宙語が聞こえた。


「モッタイナイ!!」


「はっ!?今何て!?」


「上手すぎて、食べるのがもったいないんだよ!」


(えっ・・。だってこの牛肉、激安スーパーミラノのタイムセールで買った牛肉よ!確かに、手に入れるのは、原始時代のマンモス狩りくらい大変だったけど・・。このことは、黙っておくべきだわ。)


実野里が、ダイに初めて、大した隠しごとをした瞬間だった。



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