SトロベリージャM
「カジミノ、おはよ~。」


ダイが来た。


驚いた反応が見たくて、あえて何も言わなかった。


ダイは机の前で、突っ立っていた。


(絶対、驚いてるな。たまには、褒めてくれるよね?)


しかし、無表情で反応がなく、不思議に思って話しかけようとした、そのときだった。


「ガッチャーン!!」


ガラスが割れる音が響いた。


それは紛れもなく、実野里の持ってきた花瓶だった。


床には、ガラスの破片とストックの花が散らばっていた。


信じられない光景だった。


花に、透き通った水色と黄緑色のナイフが突き刺さっているかのようだ。


そして、片手を上げたまま動かないダイは、冷淡な魔法使いのように見えた。


ショックで声も出なかった。


(本当にダイなの?)


自分に、そう問いかけることしかできなかった。


ダイは、前に1度見せた、あの鋭い目つきに変わっていた。


そして、怒りと悲しみの入り混じった瞳を実野里に向けた。



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