ゆるふわなキミ


腕を引っ張られてベッドに倒れる。
ベッドのおかげで痛くなかったけど、急に引っ張られて転がされて。
文句を言ってやろうと倒れるときに閉じてしまった目を開き――

…………ッッ!!

固まる私。

だって、うつぶせから横に向いて文句を言おうとしたら……!
言おうとしたら……!
横にゆるふわがいて……!
一緒にベッドに寝てて……!!

「萌ちゃん……俺、萌ちゃんと一緒にいたいんだ……」

悲しそうな、淋しそうな顔。
潤んだ瞳。
風邪のせいか赤くなった頬。
放っておかれた子犬みたいに、本当に本当にイヤだって顔してる。
でも……固まった私にはそんなこと関係ない!

「や、え、あ、そ、だから、いや、んと」
「萌ちゃん……?」

やっと言葉を発するも、もう自分でも何言ってるのか何言ったらいいのかわからない。
何これ!?何この状況!?なんかもうどうしたらなにしたらあああもうっ!!

「萌ちゃん……顔真っ赤。」

くすって笑ってゆるふわが私の頭を撫でる。
ビクッ!と身体が反応する。

「萌ちゃん……」

ゆるふわの目がまっすぐ私を見る。
よく見るとゆるふわってやっぱり可愛い顔してて、でもかっこいい顔でもあって、って何これえーと!

「萌ちゃん……」

何度も何度も。
ゆっくりと私の頭を撫でるゆるふわの手。

「ふわふわだね萌ちゃんの髪。触ってて気持ちいいなぁ……」

愛おしそうに目を細めて言うふるふわ。
さっきまで寂しそうにしてた子犬が、今度はしっぽを振って喜んでるカンジ。

「萌ちゃん……好きだよ……」


< 26 / 46 >

この作品をシェア

pagetop