ゆるふわなキミ


「タクミー!みっけ!」

校舎側から声がした。見るといつもの女子が手を振りながら走ってきてる。
ささっと謝って終わりにしようと思ったけど、あの…名前なんだっけ?とにかくあの人の前ではゆるふわと会話したくない。何言われるかわからないもん。

「……呼ばれてるみたいですよ。それじゃあ私はこれで」
「萌ちゃ――」
「タクミっ!!今日こそカラオケに行きましょ?ねっ?逃さないんだからっ!」


背中から聞こえるやけに甲高い声も、それに対してゆるふわがどう答えるかも私には関係ない。うん。関係ない。
今日は何をしよう?お家に帰って勉強でもしようか。部屋の掃除でもいいし、雑誌でも買って読んでもいいな。うんそうしよう。関係ない。
関係ない。

関係ない……

私には。

関係ないんだから……




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