ゆるふわなキミ


「萌ちゃん!ちょ、待てよ!」

後ろなんか振り返らない。知らない知らない。関係ない関係ない。

「萌ちゃん……!ちょ……!」

あーもう今日はさっさとお家へ帰ろう♪そしてまったり過ごそう。明日も学校だしね。ストレスはためないのが一番っ。

「……萌ちゃんの泣き虫……」
「誰がよっっ!!」

………………


……あっ……


振り返って目に入ったのは、嬉しそうに愛らしい笑顔を浮かべるゆるふわ。
自分の単純さがこんなにも憎らしくなったのは初めてかもしれない……

「……何の用ですか……?」

明らかに不愉快な私。しかしゆるふわは何も気にしてないようでニコニコと笑顔を浮かべ……

「カラオケ行こっか!」
「…………は?」
「萌ちゃん歌上手い?俺すげー上手いよ?聞きたい?行こうぜ!」

私が次の言葉を発する前に――

「ちょ!待って!」

私の手を取ってスタスタと歩き出すゆるふわ。
ちょ!鼻歌まじりで私の力を凌ぐな!離せー!!


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