被写体



剛には言っていないが、私は昔、森本淳のファンだった。

彼が今のように有名になる前の時代に。

彼に会いたい一心で、カメラマンを志した。


でも、もうそれは過去のこと。

剛と一緒に仕事をし、付き合うようになって、そんな感情は消えていた。


――どうしようもなく、見入ってしまったのは、昔の感情に引きずられてしまったからだろう。

そう思った。



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