野獣に魅せられて・・・

玲奈side

・・・

玄関のドアを閉め、

流れそうな涙を、荒く拭った。

・・・

化粧が落ちる事なんて気にせず。

・・・

潤也に、

あんなことを言うつもりはなかった。

・・・

でも、

たまたま窓の外を見た私は、

あまりに仲睦まじい二人を見て、

嫉妬してしまった。

・・・

私には、

ああやって優しくしてくれた事も、

微笑んでくれた事も、

一度もなかったから。

・・・

私が憶えているのは、

切なそうな瞳で、

私を見つめる潤也の顔だけ。

後は、

そっけない態度だけ。
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