嘘付きな使用人
もう何杯目か分からない。
あれから2人はずっと飲み続けていた。

「…あいつどんだけ飲むんだ?」

「さぁ?
でも多分もうすぐ終わるよ?」

翔が潤を指差す。
潤はソファーに座っていられないのか身体がグラグラ揺れ何度も焼酎を零している。
潰れるのも時間の問題であろう。

「いや、あいつも顔真っ赤だぜ?
飲んでる量から言ってそろそろやべえだろ。」

その言葉に翔はクスクス笑う。

「何だよ?」

「いや?
ヒントだけどね、彼女の顔の赤い部分手形になってない?」

「はぁ!?」

そう言われて改めて雅人は清水を見る。

「…まじだ。」

「しかもほら、手のひら真っ赤。」

「…チーク…って事か?」

「多分ね。
早く潤に勝負仕掛けて欲しかったんじゃないかな?」

「だからわざと酔ってるように見せたのか…。」

雅人がそう呟いた瞬間、潤の体がソファーからずり落ちた。
眠ってしまったらしい。
清水はそれを助ける気はないらしく、うーと伸びをして洗面台に向かってしまった。

雅人が潤を引きずりソファーに横にならせていると清水が戻ってきた。

「…お前素面かよ。」

「んー?」

顔を洗ってきたらしい清水。
全く赤くなっていない。

「あーやっと終わったー。
雅人、ビール貰っていいー?」

「はぁ!?
お前炭酸飲めねぇっつってなかった?」

「そんな事言ったかしら~?」

惚けながらビールを飲む清水。
その時今まで2人が飲み比べをしていた席で翔が笑い出した。

「清水さん。
君っずっと…クク…水飲んでたの?」

「はぁ!?」

「あーあバレちゃった~。」

お腹を抱えて笑う翔。
唖然とする雅人。
気にする素振りもない清水。

「バレたってお前…。」

「焼酎って水そっくりなんすよね~。」
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