嘘付きな使用人
「あー朝来たらとりあえずここで靴を履き替える。」

清水は昇降口で学校の説明を受けていた。

「何にー?
スリッパ持って来たらいいのー?」

「いや、お前理事長から学校用品一式届いてただろうが。
あん中に上履きもあっただろ?」

「あーあの大量の荷物ねー。
まだ開けてないわー。」

「はあ!?」

直哉は頭を抱える。

「…お前制服とか着てみてないの?」

「えー?
どうせ明日着るからいいじゃんー。」

「サイズ違ったらどうすんだよ!!
今日はもう帰るぞ!!
とりあえず荷物開けに行く!!」

「えー明日からどうするのよー。
学校全く分かんないのにー。」

「…タメだから明日俺達も一緒に行く。
どうせ入学式は出なきゃならんかったし。」

「おーありがとー。」

そんな2人の様子を潤がニコニコと見つめる。
本当は生徒会は会長以外式にも出なくて良いのだ。

「…素直じゃないなぁ。」

スゥっと息を吸い込むと2人の背中に向かって声をかける。

「僕も明日一緒に行くー!!」

「おー助かるわー。
ありがとー。」

「…俺明日お前らのお守り決定じゃねぇか。」

「お守りって酷いよ!!」

3人でギャイギャイ騒ぎながら生徒会室に戻る。
学校が楽しみなんて何年ぶりだろう。
潤はそんな事を考えていた。



「…お前それはダサい。
ない。
今時ない。」

「えー?
この制服着こなし例を忠実に再現したのにー。」

ボタンはキッチリ上まで閉める。
ネクタイもキッチリ。
髪は三つ編み。
スカートはひざ下。
靴下は三つ折り。

「時代錯誤かっつーの!!」

「えー?
潤ダメかなー?」

「うん…。
さすがにないかな…?」

「まず三つ編みすんな!!
毎朝寝癖直してとりあえず明日はストレートで行け!!
スカートは俺が裾上げしてやるから出せ!!
ボタンは2つ目まで開けろ!!
靴下は折るな!!ダメ絶対!!」

「命令が多いわー。」

そろそろ面倒くさくなっている清水。

「…分かった。
明日朝早めに制服持って俺の部屋来い。」

「えー襲われちゃうパターンー?」

「誰がてめぇなんか襲うか!!」

「じゃあ僕この間姉貴が忘れて行った化粧品あるから化粧してあげるー。
僕も直ちゃんの部屋行くねー。」

「あー姉貴いそうだわー。
虐げられてそうだわー。
つか化粧とか面倒くさいじゃんーいらないよ~。」

「彩ちゃん一応華の女子高生なんだよ?
うちの学校服とか髪には緩いからうっすらでも化粧してないと逆に悪目立ちするよ?」

「目立つのは嫌だねー。
じゃあお願いするわー。」

「ふふっ。
りょーかいっ!!」






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