嘘付きな使用人

「お前ら全員名前順に廊下に並べー。
今から体育館行って入学式だからな。」

やる気なさげに入って来た担任に促され廊下に並ぶ。

(清水だからー…。
結構前の方だね~。)

清水の横には直哉がいた。
相田、相澤、芦田、池田、池上と言った具合に男子のあ行が充実していたらしく後ろの方になったようだ。

ボヘーっと全員が並ぶのを待っていると前に並んでいた女子が振り返った。

『ねぇねぇ』

『…なんでしょうか?』

清水がそう返すとびっくりする少女。
目をぱちくりさせている。

『あれ?れれれ?』

『?』

『さっき音楽室にいた子…だよね?』

『!…人違いではありませんか?』

少女はまじまじと清水を見る。

『ううん。
絶対清水さんだった。
誰にも言わないから口調さっきのに戻してよ。
あっちの方が話しやすいし。』

清水は面倒くさそうに少女を見ると1つ溜め息をついた。

『…で?
なんか用事ですかー?』

『うん!
やっぱそっちの方が良いよー♪』

ニコニコと頷く少女。
人の話を全く聞いていない。
しかし清水の冷たい目線に気がつき慌てたように話出した。

『さっき音楽室で会話聞いてて面白い子だなって思って!!
あたし佐藤怜奈。
友達になりたいなーと。』

もじもじ照れ照れしながら話す怜奈。
モテるタイプだろうなーと考える清水。

『…ほー。
で?友達って何するのー?』

『えっ?
友達は…
恋バナしたり』

『却下ー。』

『悩みとか話したり』

『却下ー。』

『…一緒に遊んだり』

『うーん微妙ー。』

『もー!!
一緒に学校楽しもうって事!!
今日から友達!!
決定ね!!』

『…んもー直哉、この子超強引なんですけどー。』

ダルくなり直哉に振る清水。
直哉は怜奈の顔をチラッと見ると納得したようにあー…と呟いた。

『佐藤は小学校の時から天然バカで有名だからな…。』

『あーぽいわー。』

『まぁ悪い奴ではないから良いんじゃね?』

『ちょっと!!
本人目の前にして堂々と酷い事言わないでよ!!
みんなに何回も言ってるけどあたしは天然じゃなくて注意力がちょっと足りないだけだからっ!!
バカじゃなくて少し知識が足りないだけだから!!』

『そう言うのを天然バカって言うんだと思うんだー。』

『もー清水さんまで!!』

コソコソと騒ぐ3人を遥か後ろからジトッと睨む潤であった。


初体験の入学式。
…全く楽しくない。
気を抜けば寝てしまいそうな校長の話は最早一時間に到達している。

…ゴンッ

『痛っ!!
寝る度に頭突きしないでよ彩!!』

『…悪かったねー。』

全く申し訳なさのない清水。
今ので頭突きした回数は二桁突入である。

やばい…まじでこれは寝る…
11回目の頭突き直前。

けたたましい女子の歓声で目が覚めた。
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