嘘付きな使用人
キャーッ!!!

「えっ?
何?
地震?」

『違うよー。
生徒会長挨拶が始まったの。
毎回こんな感じなのよー。』

壇上には雅人の姿。
女子生徒全員が黄色い声で騒ぐ理由はさっぱり分からない。

雅人の話は生徒会役員の紹介、校則の変更などサッと進んで行く。

「えーでは最後に今年の女子副会長についてですが。」

所謂姫についての説明になり女子が色めき立った。

「副会長に関してはまだ未決定の為、今学期中に決定し報告致します。
では、良い学校生活をお楽しみ下さい。」

その言葉に溜め息とより色めき立った声が体育館に響いた。
姫の決定を楽しみにしていた残念さ、自分がもしかしたら選ばれるんじゃないかと言う期待感。
それが入り混じっていた。

『…姫なんて必要かねぇー。』

『まあ、夢を見させるには良いんじゃね?
イケメン金持ちと結構なんて良い夢だろ?』

『そうかねー。』

怠げに清水は首を鳴らす。

『金持ちの嫁なんて面倒臭いだけじゃないかいー?』

『まあ政略結婚が当たり前な学校だからな。
釣書が良ければ良いって感じなんじゃね?』

『なるほどねー。』

つまんねえ人生、と呟いた清水の声は女子のざわめきに混じり消えて行った。
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