嘘付きな使用人
買い物中は省略してもいいかもしれない。

とにかく渡された物をどんどん清水が着ていくそれだけであった。

清水は一生分の体力の三分の一を使ってしまった。

「おし、帰るぞー。」

「…こんだけ頑張って結局一着も買ってないだわさー。」

恨めしげに見る清水に直哉は紙袋を突き出す。

「もう買ったっつーの。
帰るぞ。」

「あれ?支払いは?」

「もうした。」

「あざーす。」

何かムカつくなーと思う直哉だった。



生徒会室に戻ると潤の試験勉強を雅人が教えている所であった。

「「ただいま~。」」

「あっお帰り。」

「だから潤!!
てめえは何遍同じ事言わせたら気がすむんだよ!!」

「ヒイイイ!!
ごめんなさいーー!!」

その様子を見て清水は呟く。

「…スパルタですな~。」

「他人事だと思ってると思うけど清水さんと直哉はこっちだよ?」

ニコニコと翔が手招きしている。
まるで悪魔のようだと思いながらも黙って2人は席につく。

「じゃあ2人はこの数学の問題やって見て。
直哉は中3の復習。
清水さんは実力を見る為に中1の問題だから。
2人共解けなかったら今日寝かさないからね?」

確実にエロい意味ではなさそうだ。

「制限時間20分ねー。
始め。」

翔の合図で目の前の紙を裏返す。
問題を読み清水の眉間に皺が寄る。

「…え?は?
まじで?」

「まさか清水…中1の問題分かんねえの?」

直哉が清水の問題を見ようとするが翔に止められてしまう。

「直哉、見たらカンニングって事にして朝までここで勉強してもらうからね?
清水さん、どうかした?」

「いや…これ本当に中1の内容ですかー?」

「あーうちの学校進むの早いからね。
諦める?」

「…いや大丈夫ー。」

しばらく悩んだ後ガリガリとペンを走らせ続ける清水。
翔はそれを面白そうに見つめる。
直哉は
(中1の問題ってそんなに数式必要だったっけ?)
と頭を悩ませていた。

< 30 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop