嘘付きな使用人
「翔、出来た。」
15分後直哉が翔に解き終えたプリントを渡す。
翔はお疲れ様ーと受け取るが未だ目は清水のプリントに向けられている。
直哉もチラッとプリントを見て目を丸くした。
翔を見ると悪戯がバレた子どものように唇に指をあて静かにと合図を送る。
「清水さんあと5分だけど大丈夫?」
「…もう…5分下さい。」
「仕方ないなぁ。
まあいいよ。」
そして10分後、解き終えた清水は机に突っ伏した。
翔は清水の解答を読み頷く。
「…うん正解。
清水さん、聞きたいんだけど。」
「なんすか~。」
「君は一体、『どこで』『誰に』勉強を教わったんだい?」
翔の言葉に清水は顔を上げる。
「独学ですけど~。」
「…僕は理事長に君に勉強させるよう懇願されてね、申し訳ないけど『絶対に解けないであろう』問題を出したんだ。」
翔は問題が書かれたプリントを持ち上げた。
「清水さん、この問題見た事あった?」
「…いや。」
「これはね、ある意味で有名な問題なんだ。
ある有名な大学でこの問題が解けたのは受験者の中で2人だけ。
大手予備校の教師陣が回答速報を作れなかった超難問としてね。」
「……。」
「ねぇ清水さん、もう一度聞くよ?
どこで誰に教わってたの?」
翔はもう笑っていない。
清水もヘラヘラした笑顔が一瞬消えた。
しかしすぐにまた、元のヘラヘラとした笑顔を貼り付ける。
「私、育てて貰った新聞屋の爺に『学校行かないなら行ってる人以上に勉強しなきゃならん。』って言われてずっと勉強させられてたんですわ~。」
「…理事長の所に新聞屋の方から君が元気か心配して電話が掛かってきたらしくてね。
新聞屋の方は『自分達は中卒だから勉強の方は教えた事がない。本人もこちらの手伝いばかりして何度か注意したが勉強している所を見た事がない。』って言ってたらしいんだ。
…それで理事長が心配して僕らに頼んできたんだよ。」
翔の言葉に今度こそ清水の顔から表情が消える。
「…どこで、誰に教わってたかなんてあんたには関係ないだろうに。」
「確かにそうだけどね。」
清水の口角が上がる。
「これ以上触れるなって…あんたには伝わってたと思ってたんだけど。」
「うん。
分かってるよ。
だけど僕も残念ながら知らなきゃ気が済まない性分なんだよね。」
清水は溜め息をつき椅子から立ち上がった。
「なら知りたかったら自分で調べて下さいなー。
どうぞ頑張って下さい。」
手をヒラヒラ振り清水は生徒会室を出て行った。
先程のやり取りによって非常に気まずい空気になった役員達を残して。
15分後直哉が翔に解き終えたプリントを渡す。
翔はお疲れ様ーと受け取るが未だ目は清水のプリントに向けられている。
直哉もチラッとプリントを見て目を丸くした。
翔を見ると悪戯がバレた子どものように唇に指をあて静かにと合図を送る。
「清水さんあと5分だけど大丈夫?」
「…もう…5分下さい。」
「仕方ないなぁ。
まあいいよ。」
そして10分後、解き終えた清水は机に突っ伏した。
翔は清水の解答を読み頷く。
「…うん正解。
清水さん、聞きたいんだけど。」
「なんすか~。」
「君は一体、『どこで』『誰に』勉強を教わったんだい?」
翔の言葉に清水は顔を上げる。
「独学ですけど~。」
「…僕は理事長に君に勉強させるよう懇願されてね、申し訳ないけど『絶対に解けないであろう』問題を出したんだ。」
翔は問題が書かれたプリントを持ち上げた。
「清水さん、この問題見た事あった?」
「…いや。」
「これはね、ある意味で有名な問題なんだ。
ある有名な大学でこの問題が解けたのは受験者の中で2人だけ。
大手予備校の教師陣が回答速報を作れなかった超難問としてね。」
「……。」
「ねぇ清水さん、もう一度聞くよ?
どこで誰に教わってたの?」
翔はもう笑っていない。
清水もヘラヘラした笑顔が一瞬消えた。
しかしすぐにまた、元のヘラヘラとした笑顔を貼り付ける。
「私、育てて貰った新聞屋の爺に『学校行かないなら行ってる人以上に勉強しなきゃならん。』って言われてずっと勉強させられてたんですわ~。」
「…理事長の所に新聞屋の方から君が元気か心配して電話が掛かってきたらしくてね。
新聞屋の方は『自分達は中卒だから勉強の方は教えた事がない。本人もこちらの手伝いばかりして何度か注意したが勉強している所を見た事がない。』って言ってたらしいんだ。
…それで理事長が心配して僕らに頼んできたんだよ。」
翔の言葉に今度こそ清水の顔から表情が消える。
「…どこで、誰に教わってたかなんてあんたには関係ないだろうに。」
「確かにそうだけどね。」
清水の口角が上がる。
「これ以上触れるなって…あんたには伝わってたと思ってたんだけど。」
「うん。
分かってるよ。
だけど僕も残念ながら知らなきゃ気が済まない性分なんだよね。」
清水は溜め息をつき椅子から立ち上がった。
「なら知りたかったら自分で調べて下さいなー。
どうぞ頑張って下さい。」
手をヒラヒラ振り清水は生徒会室を出て行った。
先程のやり取りによって非常に気まずい空気になった役員達を残して。