嘘付きな使用人
仕事が終わったのは結局深夜を過ぎ、空が白み始めた頃だった。

全員目の下にクマが出来ている。
生徒会入会1日目。
だが既に辞めたい気持ちでいっぱいである。

1年集団が欠伸をしつつ立ち上がり部屋に帰ろうとすると雅人がそれを制した。

「まてお前ら。
仮眠すんならここでしろ。
姫が決まったから朝礼で報告しなきゃいけねぇから。」

潤の拳が震える。

「ちょっと待って…。
寝不足と過労でぶっ倒れそうなのにこの後見せ物パンダになれって言うの?」

直哉も額に青筋を浮かべ雅人を睨み付けている。
そんな2人に翔が事も無げに答えた。

「まあまあ。
今から怒ってたら身が保たないよ?
パンダになった後は再来週の宿泊研修の準備があるからね。
2週間は寝られない事覚悟しといた方がいいよ。」

「「「はあ!?」」」

驚愕を隠せない3人。
1年団に対し全く動じていない雅人と翔。

「…なんで雅人達はそんな普通なわけー?」

「あー…。
実は去年の姫が強烈でな。
仕事押し付けられるなんて当たり前だったんだ。」

「しかも会長が姫に盲目状態でね。
今年に入って仕事量増えたって言っても僕らは去年とあまり変わらないんだよ。」

疲れた様に語る雅人と、にこやかに、けれど確実に潤を睨み付けつつ語る翔。
思い出した様に青ざめる潤。

わけが分からず清水が首を傾げると直哉が耳打ちした。

「…去年の姫って潤の姉貴なんだわ。」

「…潤は今年奴隷扱いされるね~。
南無阿弥陀夫~。」

「ちょっ彩ちゃん!!
助けてよお!」

潤の悲鳴を無視し清水は念仏を唱え続けたのだった。
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