ロンリーファイター



「さっきも言いましたけど、やっぱり俺年取るの悪いと思わないっす」

「…?」

「自分自身がやりがいのある毎日を過ごせてるなら、それでいいじゃないっすか」

「……」

「俺はそんな椎菜さんのこと、単純に格好良いと思う」





言葉とともに、また優しい眼差しが向けられる。





「そう、かな」

「まぁ俺が言うことだけが全てではないと思うんで、一応それも頭に入れて貰えれば」

「……」



カップを置いたテーブルの上。置かれたケーキには灯る火に蝋が小さく溶ける。



「椎菜さん、誕生日おめでとう」

「……」





『誕生日、おめでとう』



呟かれたその一言は

今日沢山聞いたなかでも

一番深く、心に沈む





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