ロンリーファイター



「…なんか、くすぐったい」

「?」

「純粋にお祝いされるの、久しぶりでさ」



嬉しさから、思わず零れた笑み



「ありがとう、田口くん」





あぁ、どうしよう

やっぱり、勘違いでも気のせいでもなかったよ





「嬉しい」





誤魔化せないし、隠せない





「すごく…嬉しい」





瞳に映したマグカップに、思わず涙まで出そうになるくらい

嬉しくて、愛おしい



不釣合いかもしれない

10も上の女がと笑われるかもしれない

けどきっと、もう気持ちは止められない



(…好き、なんだ)



田口くんのことが、好き



そう気付いてしまった、30回目の誕生日




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