ロンリーファイター
「あ…えと、私は稲瀬椎菜と申します」
「椎菜さん…何だか苗字のような名前ですね」
「よく言われます。親がそういう名前が好きな人で」
「でもよくお似合いです」
「ありがとうございます」
笑顔に笑顔で返して、カチャ…とカップをソーサーの上に置いた。
「あの、部長の方からは高城さんが私を名指しで選んでくださったとお聞きしました。…どうして、私を?」
「……」
早速聞きたいことを直球で聞く私に、高城さんは少し驚いてふっと笑う。
「聞いていた通り、思ったことはストレートに聞く方なんですね」
「あ…すみません」
「いえ全然構いませんよ。どうして、どうしてか…」
一定の穏やかさを保つ言葉に、私はまた一口コーヒーを飲む。