好きです、おにさま!

夏の日差しは厳しいけれど、生い茂った木々がそれを遮って中庭に綺麗なモザイクを作っている。


「よこたんー!!今日駅裏のカフェ行こうよー!」

昼休み、教室からボーっとそれを眺めていると、友達のユミが話しかけてきた。

ユミは、テレビやネットで話題の占い師だ。
「ヨウメイ」と言う名前で活躍している。なんでもひいお爺さんが中国の人だそうで、中国から持ち込んだ占いを家族代々で生業にしているらしい。
ユミの一家の占いは当たると評判で、ユミの実家の占い屋さんは日々行列、ユミはそのかわいらしい容姿からタレント占い師として引っ張りだこだ。

「いいけど、今日仕事は無いの? ヨウメイ先生」
「もうっ、やめてよー!今はユミです! それに今日はオフなのっ!」
わたしが少しからかうと、ユミは口を尖らせてそう言った。

「じゃあ行こっか、放課後」
「まじで!やったー!」

ユミは喜んで笑顔になった。
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