好きです、おにさま!

わたしの家は、超セレブ!ってわけでは無いけど、多少なりともお金は持っているほうだと思う。明治のころから続く呉服問屋で、今も良質の和服を買い付けてお客様に売る仕事をしている。そのおかげで、和服を一人で着ることもできるし、良い和服はどれかと目利きをすることもできる。もちろん家ではもっぱら和服を着ている。

ユミとは、入学式のときに隣に座ったことがきっかけで友達になった。話も合うし、一緒にいてて疲れない。お互いにそう思っていると思う。

一度、ユミに「わたしとの相性占ってみた?」と冗談で聞いたことがある。
「自分と周りの人との相性は占いたくないの、何がなんでも」
ユミはそう答えて困ったように微笑んだ。
そのユミの顔がどうしても忘れられない。


放課後、校門でユミと待ち合わせをした。
スマホをいじりながら校門の壁に寄りかかっていると、近く女の子がささやきあっているのが聞こえた。

「あ、あと少しで来るよね…?」
「来る来る!がんばって渡しなよ!!」
「うわああ緊張するー!!!」
「あ、きたきた!!」

どうやらメアドを渡すらしい。
どんなにお金持ちの高校でも、こんな光景あるんだな、と少し微笑ましくなった。
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