好きです、おにさま!

「漆坂代議士の息子だよー」
「代議士って……政治家の息子!?」
「そうそう」
「なるほど、そりゃモテるわけだ」

ちっちっち、とユミは妙に古臭いジェスチャーをする。


「それだけじゃないんだよ、よこたん君」
「なになに?」
「ぱっと見ぜんぜんかっこよくなさそうなのに、女の子の扱い方を知ってるし、笑った顔が素敵ってことで…」
「なるほど、ギャップ萌え、ってやつですかユミ先生」
「その通り!」

ちらりとまたその漆坂とやらを盗み見する。

その瞬間、彼と目があう。ユミの言うとおり、さわやかな笑顔だ。


だけど、体から血の気が引いていく。
なに、怖い、この男、なんか怖い。

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