好きです、おにさま!

「あ、あの、もしよかったら、受け取ってください!」

どうやらその相手が来たらしい。
どんなイケメンだろう、芸能人やアイドルもいっぱいいるし、どうせジョニーズのうちの誰かだろう。

横目でその男子を見ると、そこにいたのは意外な人物だった。
髪の毛は無造作なのか寝癖なのかわからないボサボサ具合、黒縁の眼鏡に猫背のだるそうな男子。

女の子の顔は真っ赤だ。
その男子は紙をひょいっと受け取って、笑顔を女の子に向ける。
「ありがとう、さっそく今晩メールする」
女の子は顔を赤らめたまま頷いた。
取り巻きもキャーキャー言っている。


「あー、漆坂玲一だね」
びっくりして後ろを振り向くと、ユミがニヤニヤしながら立っていた。
「うるしざかりょういち…?」
「あれ、よこたん知らないの?」
「し、知らない」

< 4 / 16 >

この作品をシェア

pagetop