神龍と風の舞姫
「私は、あの時決めたんだよ。海斗と一緒に居るって。だからもうその道はいらない」

大丈夫だよ

そういって小さく微笑むしるふは、出会ったあの頃よりも強くなった

それを一番知っているのは、だぶん海斗

でも、それでも大切だからこそできるだけ傷つかない道を、と望む

その反面、そばに、とも想う

ふわりと舞った風は、温かだ

「わかった」

何があっても守り抜くと誓ったのは、2年前

あの時よりもしるふは海斗の中で重要な存在になった

でも、その手を離すことでしるふを守るのではなく、隣で微笑んでいるしるふを守ろうと思う

しるふがそれを望むなら

きっと手を離したら、お互いに後悔するから

辛いと思うことがあっても二人でいようと思う

それが自分達の選んだ道なのだから

再び歩を進める海斗を確かな想いとともに追う

あの背を任せてもらえるように、自分も強くあろうと思う

海斗が羽を伸ばして暮らせる世界が来るまで

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