神龍と風の舞姫
「お前、風使いか」

そっけない短い問いかけに

「お前じゃなくて、しるふよ。…よくわかったわね、私が風使いって」

感嘆したように瞳が少し大きくなる

「さっき突風起こしたろ。それに列車まで走るとき、風をまとってた」

「あ、あの突風ね、あいつらがしつこくてふっとばそうと思ったんだけど、思いがけず街中で」

結局力発動させただけで終わっちゃったのよね

へへっと小さく笑ってから

「でも、さっきのに気が付かれてたとは思わなかったな。あれくらいの風に気が付くなんて、お兄さん相当力強いでしょ」

そういうお前は世間知らずだろう

世界最強と言われ、しかも半年ほど前から行方が話題になっている海斗・ディフレンドを前にして無防備に笑っているのだから

ただのバカか、命知らずか

「そのお兄さんの強さを見込んでさ、お願いがあるんだよね」

まあ、この列車を降りたら消える縁だろう、と窓の外に意識を移した海斗だが

「は?」

予想のつかない言葉にらしくない反応をする

「いや、ね、私1か月くらい後に開催される世界最大級の踊り子大会に出るの。でもそこまで行くには山とか山とかたくさん危ないところ超えないといけないでしょ?だから心強ーい用心棒が欲しいなって思ってたんだ」

うれしそうににこにこしながら話す

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