神龍と風の舞姫
「私がここから出れば取引も何もないわ。それができないってはじめっから決めつけないでよね…!!!」
ざわっとしるふの足元の空気が動く
放たれた矢のように鋭い風は、標的めがけて突き進む
髪と服の裾が風に揺れる
ニヤ、とフードの下で口元があざ笑った、そう思う
「っ」
視えない障壁に、操った風を粉砕させられ、しるふは悔しそうに唇をかむ
やっぱり、こいつには自分の力では敵わない
かといって取引に応じるつもりは毛頭ない
ならば…
バっ、と取り出した扇子を広げて腕を下から上に振り上げる
瞬間、生まれた大量の風が協会の壁めがけて吹き付ける
どこかに穴さえ開けば、この空間さえ壊せれば、たとえ力がかなわなくとも勝機はある
それにどこかに居るであろう海斗に、しるふが力を使ったことが伝わるはず
くくっとしるふの抵抗を楽しむような声が荒れ狂う風を抜けて聞こえる
「風の姫は、死に急ぐと見える」
その言葉とともにしるふの背後から水柱が生まれ、口元から抱くように水流の中に引きずり込む
「…!!」
夢の最後と同じ感覚に反撃の隙を逃す
息ができない
遠のきかけた意識のせいで操っていた風のまとまりが消えうせる
思わず喉を抑えたしるふは、
「…げほっ…!!」
どさっと床にたたきつけられて、息が詰まるのと同時に酸素があることに咳き込む
ざわっとしるふの足元の空気が動く
放たれた矢のように鋭い風は、標的めがけて突き進む
髪と服の裾が風に揺れる
ニヤ、とフードの下で口元があざ笑った、そう思う
「っ」
視えない障壁に、操った風を粉砕させられ、しるふは悔しそうに唇をかむ
やっぱり、こいつには自分の力では敵わない
かといって取引に応じるつもりは毛頭ない
ならば…
バっ、と取り出した扇子を広げて腕を下から上に振り上げる
瞬間、生まれた大量の風が協会の壁めがけて吹き付ける
どこかに穴さえ開けば、この空間さえ壊せれば、たとえ力がかなわなくとも勝機はある
それにどこかに居るであろう海斗に、しるふが力を使ったことが伝わるはず
くくっとしるふの抵抗を楽しむような声が荒れ狂う風を抜けて聞こえる
「風の姫は、死に急ぐと見える」
その言葉とともにしるふの背後から水柱が生まれ、口元から抱くように水流の中に引きずり込む
「…!!」
夢の最後と同じ感覚に反撃の隙を逃す
息ができない
遠のきかけた意識のせいで操っていた風のまとまりが消えうせる
思わず喉を抑えたしるふは、
「…げほっ…!!」
どさっと床にたたきつけられて、息が詰まるのと同時に酸素があることに咳き込む