一期一会 ~未来からの贈り物~


家の前までお決まりの様に琉司は私を送ってくれる。



「じゃあな」



先にそう口にする琉司に私は小さく手を振って背を向ける。



それが私達の習慣。



琉司は私が家の中に入るまで見送り、家に入った事を確認すると自転車に跨り颯爽と闇の中に消えて行く。



私はそれをこっそりと家の中から見ていて、毎度の事ため息を吐いた。




琉司はなぜ私なんだろ?



琉司はそれなりにもてると思うのに、特に彼女を作らない。



見た目だって悪くないし、運動神経だっていい。



キャーキャー言われるタイプではないみたいだけど、彼に密かに思いを寄せている子は絶対居るはず。



それなのに、どうして…?なんて考えはじめると、やっぱり自分の恋のことも考えなくてはならない。



私もどうして昂くんなんだろ?



人を好きになるのは理屈ではないのかもしれない。



けど、繋がらない思いをいつまでも追い掛けていていいのだろうか?


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