一期一会 ~未来からの贈り物~


昂くん達より一足先にお店をでた私達は真っ直ぐ家に向かった。



琉司の家と私の家はまるっきり逆方向だから、だから本当に琉司に家まで送って貰うのは心苦しい。



けど、琉司はそんな私の気持ちなんて知らない。



呑気に鼻歌なんか歌いながら、自転車を押し、私の歩調にあわせてくれる。



こういうところは本当に優しい。



「ねぇ、琉司…」


「ん?」



琉司の横顔を見上げながら私は次の台詞を言おうか言うまいか悩んでいた。



次の角が私達の家の別れ目。



遅くまで連れ回した挙げ句、家まで送って貰うなんて、やっぱり……



「琉司、今日はここでいいよ」


「っーか、俺がミナモを送って行きたいの!」


「……」



なんて言い切られちゃうから私はやっぱり黙る込むしかない。



私は琉司より少し後を歩き、小さくため息を落とした。



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