一期一会 ~未来からの贈り物~
とりあえずこの暗がりで、さっきの男の子を見付けるのは不可能と判断した私は、琉司の隣を仕方なく歩いく。
「なぁ、もうそろそろ良い返事きかせてくれよっ!」
自転車を押しながら、そう私に答えを求める彼は、何度となく私の事が好きだ。と告白してきた事がある。
勿論、断っている。
私の好きな人は幼なじみの隣の彼。
例え彼女が居ようとも、思い続けるのは自由な筈。
琉司だって、私に何度と振られても思いをぶつけてくるのだ。
それに対して私はとやかくは言わない。
いやっ、言えない。
結局相手が違うだけで、私も琉司も同じ事をしてるから。
それは片思い。
私は琉司みたいに、彼に気持ちを伝える事はないけど、あきらめ切れず思い続ける点では同じなんだ。
そんな琉司の気持ちをやっぱり私は邪険には出来ない。
私もそんな風に邪険に扱われたくないから。