一期一会 ~未来からの贈り物~


とりあえずこの暗がりで、さっきの男の子を見付けるのは不可能と判断した私は、琉司の隣を仕方なく歩いく。



「なぁ、もうそろそろ良い返事きかせてくれよっ!」



自転車を押しながら、そう私に答えを求める彼は、何度となく私の事が好きだ。と告白してきた事がある。



勿論、断っている。



私の好きな人は幼なじみの隣の彼。



例え彼女が居ようとも、思い続けるのは自由な筈。



琉司だって、私に何度と振られても思いをぶつけてくるのだ。



それに対して私はとやかくは言わない。



いやっ、言えない。



結局相手が違うだけで、私も琉司も同じ事をしてるから。



それは片思い。



私は琉司みたいに、彼に気持ちを伝える事はないけど、あきらめ切れず思い続ける点では同じなんだ。



そんな琉司の気持ちをやっぱり私は邪険には出来ない。



私もそんな風に邪険に扱われたくないから。


< 7 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop