一期一会 ~未来からの贈り物~
「っーか、帰んのか?」
いつも通りの帰り道を進んでいくと、琉司がいきなりそんな事言ってきた。
「えっ…?」
「てーか、さっき『寄るとこある』って言ってただろ。
そのまま真っ直ぐいったらお前んちだろ?」
「そう、だっけ?」
すっかりあの少年に心奪われて、彼に言ったでたらめな言い訳すら忘れていた。
それに、このまま真っ直ぐ帰ったら、また見たくない場面に遭遇してしまう。
そんな事考えたら、私は駅前の方へ自然と足が向かっていた。
「おい、どこ行くんだよ?」
琉司もそんな私の後を着いてくる。
でも、どこへ行こう?
無難に本屋さんでも行こうかな?
特に欲しいものもないし、時間潰すだけだし。
そんな事を考えながら足取りも軽く本屋へ向かう。
けど、そんな浅はかな考えが私を追い詰めていくことになるとは、この時の私は知らなかった。