竜王様のお約束
コクリュウは余りに喜ぶリョクの姿を見て、複雑この上ない気持ちにかられた。


『ハクリュウ様に殺されるか・・・。』


多分リョクを天界に連れて行き、ヤヨイを王妃に据えて、ハクリュウがこのまま竜王を継続してくれることが、一番丸く収まる方法に思える。コウリュウもそれを願い、自分だってそうなればどんなに喜ばしいことかと思う。


しかし、当のハクリュウ本人が首を縦に振らないのでは、致し方ない話だ。


こんなに堂々と天界に姿を現してしまった今となっては、最早”先代”と付ける意味があるのか?とさえ思えるほどだが、先代竜王であるハクリュウが復帰を頑なに拒むのだから。


ハクリュウ様のお気持ちもよく分かる。でも・・・。わがままを通り越して、悪あがきにさえ感じてしまうのは恐れ多いことなのだろうか。コクリュウの秘めた胸の内だ。


ハクリュウとコクリュウが交わした約束は、リョクを天界に連れてくることではなく、むしろその逆であった。


このままリョクを天界に連れて行ったらどうなるか。自分の手のひらの中で、嬉しそうに微笑むリョクには申し訳ないのだが、正直、想像もしたくないコクリュウなのであった。

< 143 / 257 >

この作品をシェア

pagetop